
※リンク先は当時のYahoo!ブログ等が消滅しておりますので、記事(作品)のコピーを貼らせていただいているものもあります。当時参加していただいた皆さんに、改めてお礼を申し上げさせていただきます。
あなた… 今でも泣きたいんでしょう? …泣くならここが一番ですよ…
やはり結婚式っていいですね…。もう一回やりたい…。(^_^;)
なんだかうれしくて、今夜は飲みたくなってきました…と言っても、お酒の飲めない僕は、恥ずかしながら、冷蔵庫の『マミー』ですけれど…。いや、奮発してカルピスの熱燗にしようかな…。
第2回は、子狸さんの作品。
さあ、披露宴のスタートです!
http://kodanuki444.livedoor.blog/archives/4780215.html
第3回は、うさこさんの作品です。
乾杯の音頭は…この方です!
http://poppo2019r1.livedoor.blog/archives/28297247.html
連作創作ストーリー 「White Wedding ~14年目の結婚式~」第4回 by うさこ&子狸&poppo
4
マイクを受け取ったのは、スンリョンだった。
彼は、せっかちにテーブルクロスで口をぬぐうと、一声「あ~」とマイクチェックをした。
「…ユジン… 理事…。 ご結婚、おめ… おめでとうございます。
…え~ …おふたりの出会いは、聞いたところによると… 高校時代?
…びっくりしました…。 ユジン… なんで言わなかったんだよ…。」
すでにアルコールが回っているらしい。
「…俺… なんだか… うれしくって…。
…ユジン! …乾杯しよう!!」
スンリョンはふらつく足元で、ユジンにかけよりグラスを差し出した。
ユジンも微笑んで、席を立とうとした。
そのはずみで、目の前の水の入ったグラスが倒れた。
「…あ。 …チュンサン! 大丈夫?」
倒れたグラスの水は、チュンサンの前に流れていた。
「…大丈夫だよ。 …ちょっと袖が濡れただけ…。」
「…ごめんね…。 こんなもの着てるから…。」
ユジンは、ドレスの裾を気にしながら立ち上がり、チュンサンの前のテーブルをダスターで拭き始めた。
そしてバッグの中からハンカチを取りだして、チュンサンの濡れた袖や、スーツの裾のあたりを拭いた。
その甲斐甲斐しい姿に、スンリョンをはじめ参列者たちは、静かに見守るだけであった。
そして、これからのふたりの生活に思いをめぐらせて、胸を熱くしていた。
「…これ…片づけてくるね…。」
汚れたダスターを、花嫁のユジン自らが片づけようと、会場の出入り口の方へ向かって歩き出した。
「…あ!」
慣れないハイヒールに、ユジンの足が乱れ、その場に膝を折った。
「…ユジン!!」
チュンサンは思わず立ち上がった。
人々もはっとして、一斉に目をむけた。
「…大丈夫よ…。 …やっぱりだめね…。
…私… こういうの着慣れてないから…。」
ユジンは苦笑しながら立ち上がった。
「……? …あれ… 靴が… ……。」
転んだはずみで脱げたハイヒールは、階段の下に落ちていた。
「…あら… あんなところに…。」
「…ユジン、待ってて。私、取ってくるから…。」
そう言ってユジンを抱えていたチンスクが、階段の下に向かおうとした時、
「…待って…。」
チュンサンが声をかけた。
「…チンスク…。 …待って…。
…僕が…行くよ…。」
そう言ってチュンサンは、ゆっくりと歩き出した。
見えない目で、ユジンの方に向かって軽く微笑んだ後、足先で床を確かめるようにしながら一歩ずつ階段の方に向かった。
参列者たちは、みな黙ってその様子を見つめていた。
階段の端を確かめたチュンサンは、また慎重に一段ずつ降り始めた。
わずか5段の階段ではあったが、それは短い時間ではなかった。
階段の下に降りたチュンサンは、その場に膝をついた。
「…このあたりかな…。」
手探りで、ユジンのハイヒールを探している。
華やかなスーツ姿のまま、床に膝をついて手であたりを探っているチュンサンの姿に、サンヒョクが言った。
「…チュンサン! …もっと右だよ!」
「…あ、そうか… ありがとう…。
………。
……? …!! あった!
…ユジン… あったよ…。」
チュンサンは、そのハイヒールを手にすると、また一歩ずつゆっくりと階段を昇り始めた。
ユジンが、涙をいっぱいに溜めた目でそれを見ている。
「…チュンサン…。………。」
「…さあ… 足を出して…。」
チュンサンは、ユジンの足元にしゃがみ、そっとヒールを置いた。
ユジンは、そのチュンサンが支えているヒールに静かに足を入れた。
あの日のように…。
あの高校の塀の上…。
ふたりで越えた高い塀…。
(……これからも… ふたりで… 乗り越えて行くのよ…。)
ユジンの目から流れた涙が、チュンサンの手の上に落ちた。
「……! …ユジン…? …大丈夫…?」
立ち上がったチュンサンに、ユジンは思わず抱きついた。
「…チュンサン! …ありがとう…!
…ありが… ………!」
そのままユジンは声を忍ばせて泣いた。
誰もが、そのふたりの姿に心を打たれていた。
パチパチパチ…
拍手をしたのは、キム次長だった。
くわえ煙草のまま、涙がつたった顔を真っ赤にしながら、夢中で彼は拍手をしていた。
それにつられたのか、参列した人々は、一斉に大きな拍手をこのふたりに贈った。
あたたかな空気が、そこにはあった。
(…ここまで。 by poppo)
お次は、子狸さんです。 よろしく!
…あ~あ… またティッシュが切れちゃった…。
今回は、子狸さんの番です。
アドレスを貼っておきます。
http://kodanuki444.livedoor.blog/archives/4780233.html
poppo