冬ソナで泣きたい! ~Poppoの落書き帳~

   あなた… 今でも泣きたいんでしょう?    …泣くならここが一番ですよ…

『冬のソナタ』ネタ帳

第1話「出会い」から


第1話 「出会い」



とにかくユジンの明るさが印象的。
遅刻はするけれど、まじめで正義感も強いのだろう。
父を早く亡くした寂しさは、人前では感じさせない。
働く母へのまなざしも優しく、いたわりと切なさも持っている。
妹との関係もいい。

第3話以降では、それがぐっと沈み込んだものになり、どこかに影を潜めた表情に変わっている。
チェ・ジウの演技力のたまもの。

「特別な人としか手をつながない」というユジンの言葉は、その後のチュンサンとのやりとりの中で生きている。
NHKではカットされたが、どうして?という思い。

チュンサンの肩にもたれかかり居眠りするユジン。
この「居眠り」も意味があった。
ユジンは、チュンサン以外の男の前では眠らないのである。
その後の本編でも、ユジンはチュンサンもしくはミニョンのそばでしか眠っていない。
そういうシーンしかドラマでは扱っていないのだけど。
サンヒョクのそばで眠る場面があったら…どうだろう?

チュンサンの表情の暗さも、いい。
「野球選手が趣味で野球をするとでも?」というセリフのあたり。
ユジンから顔をそむけてはいるが、傲慢な感じはしない。
サンヒョクの存在ばかりを意識していて、まわりに関心が向かない感じがよく現れていると思う。

チェリンの、チュンサンを見る目も印象的。
本編では描かれていないが、積極的なチェリンのアプローチはもっとあったと考えたい。

キム・ジヌ教授の「想像力と好奇心」という言葉も、意味深ではあるが、もう少し違った使い方ができそう。

チュンサンが母カン・ミヒと食事をするシーン。
気をつけて見ると、壁にアングル・構図の違うミヒの写真が2枚飾ってある。
どちらも同じ時に撮ったものらしい。
よっぽど気に入っているんだろう。

ユジンがひとり放送室で歌い踊る場面。
そして、スケッチブックも彼女の人間描写の面から見て、興味深い。

ヨングクの言葉は、「予言」になるのだろうか。
「友達から恋人へ、恋人から奥さんになるんだ。今は、片思いでも…。」
これを聞くチンスクの表情が、とても印象に残った。
この二人も、運命の二人なのだろう。

音楽の試験で、ピアノを弾こうとはしないチュンサン。
その理由を彼の心の中に求めると、どんどんイメージがふくらんでゆく。

しかし、なぜチュンサンは「殴れよ」と言うのだろう。
サンヒョクに対していろいろと嫌な行動をとっていくが、自分を「殴れよ」という気持ちは?
まじめなサンヒョクに「暴力」をふるわせてみたいのか。
…これは、チュンサン自身の「良心」の表れと見ることはできないだろうか。
自分でも不快に思うほどの、サンヒョクへの嫉妬心や敵愾心。
それを止めることのできない自分への憤り…。
そう思いたい。

バレーボールの後、顔を洗っている時のペ・ヨンジュンの自然な演技がいい。
鼻をすすったり、息を整えたり、短い返事などが、演技力なのか偶然なのか…とにかくいい。

警察からの帰り、チュンサンとユジンの会話は重要。
初めてお互いのプライベートなことに触れ合った場面だから。
それにしても、いきなり「サンヒョクが好きか?」と尋ねるチュンサンは変。
脚本家のあせりかな。
これも、うまく扱えばチュンサンの心の変化を描けるだろう。
チュンサンは、ユジンに借りたハンカチも返してない様子。

父のアルバムをひとり見ているヒジン…かわいい。
そして…切ない。
きっと父の記憶など、ほとんどないだろう。
父の愛を、実感として感じたことのないヒジン、そしてチュンサン。
この二人にしかわからない気持ちもあるはず。
残念ながら、この二人の接点は、ドラマの中では少ない。


第2話「はかない恋」から


第2話 「はかない恋」




この回は、どのシーンも目が離せない。
当たり前のことだが、ユジンとチュンサンが惹かれ合い、一緒に思い出を作ってゆく回だから。

学校をサボった罰の焼却場掃除。
これも二人を近づける大切な時間。
ドラマでは、湖での思い出を多く取り上げていたが、実際はこの焼却場での時間が最も長く、お互いのことを話した時間に違いない。
枯葉を燃やす場面と、湖での「お葬式」で燃やすノートの切れ端は、クロスできるかも。
チュンサンが亡くなった後、湖へはなかなか足を向けられなくても、焼却場は学校に依然としてあるのだから、ユジンはここを見るたびにチュンサンを思い出したことだろう。

チュンサンがジヌの研究室へ通っていたことも、ドラマではそれほど大きなキーワードにはなってない。
「兄妹疑惑」への展開をすすめるため、あえてジヌの存在を遠ざけるようにしたのだろう。
ジヌと過ごす時のチュンサンの笑顔と、サンヒョクに対する嫉妬の部分の対比は、とても重要だと思う。

チェリンがチュンサンに惹かれていく場面も少ない。
本当は、もっと脚本の中にあったそうだが、ユジンとチュンサンの二人の初恋に焦点をしぼったと、どこかで読んだ。
その分、いろいろ創作できそうである。

山小屋から帰ってきた後、ドラマではユジンとサンヒョクの二人に焦点が移るが、他の4人がどういう時間を過ごしたかも気になる。
ユジンとサンヒョクが言い争い、お互いにため息をつくところが、大好き。
両者がため息をつくほど、相手に通じないいらだち。
よくあることだと思う。
一緒に食事に出かけた4人の話は、イメージがふくらむ。
チェリンは、ユジンがいなくなってこれ幸いとチュンサンに近づくはず。
そして、チュンサンとヨングクは男同士の話をするはず、だと思う。

それにしても、チュンサンがユジンに「テープ」を郵便局から送ったシーンをカットするなんて…。
これだけは、どうしても納得できない。
初雪に気づき、湖に向かうチュンサンの笑顔を見なければ、その後のシーンへの流れ込みが全然違うと思う。

湖での初雪デート。
ここでの会話はいかにも高校生らしい。
自分の…中学生だったかな…その当時の行動や言動とよく似てる。
First Kissも、あんな風に、どこかふざけながらの雰囲気じゃないと、なかなかできやしなかった。
確かに、名場面だと思う。

湖から戻って、街でタイヤキを買う二人。
タイヤキは第18話でも出てきたが、さすがにキーワードにはならなかったみたい。
タイヤキを食べながら、過去を思い出す… う~ん…。

そして…ヒジンはかわいい。
あのセリフを聞いたら、その後姉妹が一人の男を争って…という展開かと思うはず。
ちょっと年齢が離れすぎ?
それでも、父親の思い出のないチュンサンと、父をほとんど覚えてないだろうヒジンのやりとりは、おもしろいのでは。

ラストの花火を見つめるユジン。
花火は、何かの暗示ではあるが、それ以上でもそれ以下でもないようだ。

とにかく、山で迷ったユジンが、チュンサンに見つけられたシーン。
ライトの光の中で振り返るユジンの涙に濡れた顔は、とても美しい。
正直、ドキっとした。
ここのシーンでは、オリジナル版にはBGMがないのだが、やはり『最初から今まで』が鳴った方がいいなぁ~。
NHK完全版では、しっかり鳴って盛り上げてますね。

「ネタ」というより雑感みたいなものを書いてますが、読んでもつまらないでしょ?
ましてや、まだ「挿話」に書いてないネタは、あえて隠してますし。
ひとりごとだと思ってください。

あ、そうそう。山小屋から帰ったサンヒョクが、自分の部屋に入ってユジンとの写真を伏せる場面で、壁にかかっている白い絵…。
これは、ちゃんとネタにしてました。
「二度目の事故」でまた出てきますからね。
他にもサンヒョクの家の壁には、「白い絵」がたくさんかかっています。
これも、ネタ。

チュンサンと一緒にユジンが帰宅した時、玄関への階段下に続く壁際にミニバイクらしき物が停めてあります。
ギョンヒが乗る…というイメージはないので…それをヒジンの自転車かあるいは三輪車にしたら…。
ここで、またひとつの物語がイメージされたのです。
「挿話 7」がそれです。


第3話「運命の人」から


第3話 「運命の人」



この回は、なんといってもチュンサンから送られてきたテープをユジンが聞くシーンでしょう。
いかにもありがちな展開でありながら、チェ・ジウの演技に泣いてしまう…。
「冬ソナ」を第1話から観てきて、最初に大泣きしてしまうのがこのシーン、という方も多いのでは。
ここで泣ける方は、以後このドラマにはまっていくような気もします。

湖でのお葬式の後、帰宅して顔を洗い部屋に入るあたりから、何か神聖な儀式が始まるような雰囲気があります。
ユジンの学生服姿が、まるでシスターのような感じがします。
そして、部屋の机にのっていた小さな郵便物。
差出人の記載もなく、ただカセットテープが入っているだけ。
不審に思いながら、ラジカセに入れたユジン。
流れ始める「初めて」のピアノ曲…。

ここでオリジナル版やNHK完全版は「My Memory」をBGMとしてかぶせてますが、これは残念!
やはり「初めて」だけにした方がいいと思います。
NHKのDVDは「初めて」で、BGMは使ってません。
これに関しては、NHKさんが正解!という感じ。
先ほど書いた「顔を洗うシーン」や「チュンサンが郵便局に行くシーン」がないのはやはり減点ですけれど。

このシーンは僕にも印象的で、「冬の挿話 1」は迷わずこのシーンを頭に入れて作りました。

今も、「挿話」を書く時は顔を洗い、手を洗ってからパソコンに向かいます。
僕なりの儀式?かもしれませんね。

10年経ってサンヒョクとの婚約…これもなかなかありがちの展開ですが、やはり観ている方としては何か残念。
サンヒョクがラジオでかけた「スミレ」をポラリスで聴くユジンに、幸せな表情が見られない。
観ている人に、いろいろ想像させる表情。
チェ・ジウの演技力なのか、監督の演出なのか… 見事です。


美容院を出た後、ミニョンを見かけ必死で追いかけるシーンもすばらしいです。
スローモーションのシーンは都会のライトの美しさもあって、とにかくきれいです。
雪に濡れた髪が、こんなにきれいだとは思いませんでした。

サンヒョクもこの回までは、本当にいい男。
ユジンへの愛が、決して薄っぺらなものではない感じがします。

ユジンが自分で描いたチュンサンの絵を燃やすシーンは、すぐに湖でのお葬式と重なりました。
湖では、チュンサンの遺品は何もなく、ただノートをちぎって燃やしただけ。
10年経って、ユジンがひとりお葬式をしているような感じがしました。
そのあたりをイメージしているうちに「冬の挿話 4」のモチーフが浮かびました。
結局、焼却場での詩という形になりましたが、ネタ帳に書いた最初のメモはこの場面を意識していました。

ユジンの髪が短くなったのも、いつか書こうとメモしてありました。
よく「失恋して髪を切る」と言いますが、ユジンの場合は違うだろうな、と。
女性の心理はなかなかわかりませんが、僕なりに考えたものが、「挿話 28」になりました。
おかっぱ頭については、「挿話 11」にも書きました。
サンヒョクとの会話で出てきたストーリーを元にイメージをひろげたもの。
ユジンとの結婚を喜んでいないチヨンを少し描いてあります。
この髪型に関するストーリーは他にもひとつネタがありまして…まだ公開してませんが、そのうち書くと思います。

この回は、10年間という時間をあっという間に流しているので、とにかく「挿話」を入れるスペースがいっぱいあるわけです。
といっても、第1話からの3話だけでイメージを作れるわけでもありません。
その後の展開の中で、またいろいろとこの10年間へのイメージがふくらみました。

チェリンがミニョンと出会ったという、このことが最も大きな運命の転機だと思うのですが、そのあたりは主役たちに焦点が移るとともに消えていってしまいました。
そこも、いつかちゃんと書いてみたいと思います。


第4話「忘れえぬ恋」から


第4話 「忘れえぬ恋」


この回は、とにかく「ヨン様誕生」の回と言えるでしょう。
ユジンとマルシアンで出会った時の笑顔で、世の女性達はクラクラきたようですね。

その華やかさと対照的に、ユジンの表情、心情は見ていて胸がつまります。

まずいきなり「ユジナー…」ですものね。
これは、脚本家に拍手。
ユジンは、ドキっとしたことでしょう。
吹き替え版では、どうしてもこの空気は感じられませんね。

しかしあんな絶妙な涙を流せるチェ・ジウは凄いです。
ペ・ヨンジュンの演技も凄いと思いますが、このふたりだけのシーンはとにかく引き込まれます。
瞬きもせず、ミニョンの顔を見つめるユジンの顔を、僕もじっと瞬きをせずに見ていたのを思い出します。

この第4話にかかわる「挿話」は、まだ1作も書いていません。
ですから、ここにネタとしてあげられるものもありません。
本編の流れがスピーディーすぎて、「挿話」を盛り込む隙間が少ないのが正直な感想。

しかし、ちゃんと見つけてはあるのです。
それをここで書いてしまうと、「挿話」が書けなくなるので、書きませんが。
いずれ、書きたいと思います。

その他では、この回を見るかぎり、ヨングクとチョンアさんとのやりとりが思わせぶりですね。
もしかしたら、この二人はいずれ恋仲に?と思ったのは僕だけではないはず。
ヨングクも、必要以上にチョンアさんに「セクハラ」発言をしていますね。
脚本家も、最初はなにやら考えていたのでしょう。

お互いに、占いに凝っているところも似ています。
それが、ネタのヒント…とだけ言っておきましょう。

映画館めぐりや駐車違反の場面は、せっかちな方々にはじれったい場面かもしれません。
けれど、ユジンとサンヒョクが次第にずれていく運命を、丁寧に表していると思います。

高校時代、ユジンは一度チュンサンと映画を観に行く約束をしました。
それは、あの放送室でのサンヒョクとの争いでなくなってしまいました。
そして、サンヒョクとの映画も観られませんでした。

サンヒョクには、絶対にチュンサン以上の思い出を作らせない!というような脚本家の意志が感じられます。

「手をつながない」とか「そばで眠らない」とか、チュンサンよりも優位に立てないサンヒョクもかわいそうですね。
たしか手をつなぐシーンもありましたが、それですら手袋の上から…でしたね。

そんな「サンヒョクができなかったこと」…これも重要なキーワードです。


第5話「罠」から


第5話 「罠」




この回は、あまり観ないという方もおられるようですね。

チェリンの企みに、ユジンがあまりに可哀想で…というのでしょう。
確かにそれは酷すぎると思います。
僕も、何度か飛ばして観たことがあります。

それでも、この回は重要な場面がいっぱい。

疑問なのは、なぜこんなにもチェリンはユジンを悪女に仕立てたかったのか…ということ。

ミニョンを、彼女に奪われるかもしれないと思うなら、なぜ二人を会わせてしまったのか…。


チェリンが、ミニョンを紹介した理由。

ひとつには、ユジンに対するコンプレックスがあるでしょう。
自分が初めて好きになったチュンサンが、ユジンを選んだという事実。
自信家の彼女には、我慢できなかったはずです。

そして、そのチュンサンが、理由はどうであれユジンのせいで命を失ったこと。
それはチェリンにとって、初恋が破れたこと以上に許せなかったことだと思います。
ユジンを恨みながら、しかし同時に彼女の魅力も本当は知っているチェリン…。
そこに複雑なコンプレックスを感じていたのだと思います。

ミニョンを紹介したとき…。
チェリンはユジンの心を確かめたのだと思います。
サンヒョクと婚約したユジンの心には、もうチュンサンの影はないはずだと。
それとは逆に、自分は今もチュンサンのことを忘れていないのだという誇り…。
本当にチュンサンのことが好きだったのだという叫び。
ミニョンはその証のような存在だったのかもしれません。
あの時、チュンサンが亡くならなければ、きっと彼は私を…。
そういう気持ちもずっとあったのだと思います。

そして、ミニョンをユジンに会わせてしまったチェリン…。

しかしチェリンは気づきました。

ユジンが、今もチュンサンを忘れていないことを…。


動揺したチェリンは、どうしようもなく無理な行動を取り始めてしまうのです。



この回の中での「ネタ」はあまり多くはないのですが、それでもいくつかはメモしてありました。

ひとつは「ユジンとチェリンのボディーサイズがほぼ同じ」だということ。
これは「冬のコンチェルト」の中で使いました。

ふたつめは「ユジンにあげてしまったドレス」
せっかくミニョンに買ってもらったドレスを、チェリンはユジンに譲ってしまう…。
このなんでもないことに、僕は二人の運命を感じてしまいました。

みっつめは「チンスクの酒癖」
これもいくつかの作品で描きました。

よっつめは「ユジンの髪の香り」
これは最終話の『不可能の家』での再会で、チュンサンがユジンに気づくことになる伏線です。
ドラマでは、今ひとつうまく表現できていない感じがしましたが、仕方ないでしょう。
チュンサンが鼻をひくひくさせたらぶちこわしですから。

いつつめは「ユジンが撮ったミニョンの写真」
その写真はその後どうなったんだろう…。
これは「冬の挿話 20」で書きました。

その他にも、いろいろ思うことが多い回でした。

あんなにいいヤツだったサンヒョクが、どうにも嫌な男に変わってゆく姿…。
視聴者からも、さんざん言われたみたいです。

でも、ユジンと歩きながらふいに道路の脇の花壇か何かの縁に上って言った言葉…。

「…ちょっと寂しくて… まるで人生だな…。 …ヒヤヒヤドキドキするよ…。」

そのセリフを何度目かに聞いたとき、「冬のコンチェルト」の主役を彼に決めました。
このセリフだけは、サンヒョクの何の飾りもない素直な心の表れだと思ったのです。
その他のセリフは、いつも飾りすぎていたり、自己中心的だったり、あるいは感情的すぎたりしています。

この回のラストで見せるヨンジュンssiの演技力もすばらしいです。

ホテルにユジンを運び込んだときの、いかにも憂鬱そうな表情。
とっても自然です。

そして、ユジンに『チュンサンガ…』と呼ばれ、『…何だい…?』と答えながら振り返った時の顔。

見事に、あの高校時代の「チュンサン」の顔になっています。
眼鏡をはずしているからだけではありません。
ちゃんとヨンジュンssiは演じ分けているのだと思いました。


とにかくチェリンも、サンヒョクも、そしてミニョンさえもユジンに対して冷たい面を見せる回です。
ユジンの心を思えば思うほど切なく、そして嫌になってなってしまうこの回…。

タイトルの「罠」は、実は僕たち視聴者にかけられたものかもしれませんね…。
 


第6話「忘却」から


第6話 「忘却」



この回のタイトル「忘却」には、ずいぶん考えさせられました。

ミニョンの言った言葉。

『故人が喜ぶのは、忘れてあげること』

これにはさすがに納得できなかったからです。


いつまでも故人を偲んで涙に暮れることは… 確かにその人は喜ばないかもしれません。
でも… それは、できません。

ホテルで、眼鏡をはずしたミニョンの横顔を見たユジン。
間違いなくチュンサンだと思ったでしょう。

そのチュンサンを、ずっと忘れられなかったと初めて心から叫んだユジン。

なのに… そのミニョンの口から出たのが先ほどの言葉…。


サンヒョクとのことを思えば、それが正しいのかも… と思ったかもしれません。
だけど… ユジンにはできないこと。

母に電話をかけたのは、その思いを確かめたかったのでしょう。
はたしてギョンヒは、言いました。

『心の中に生きている人は、永遠に忘れられないもの』と。

ユジンの涙は、人として正直な心の確認でした。


一方、ミニョンもユジンを騙した後、考えます。

『自分は、どんな人間なのか』と。

ユジンに頬をぶたれた時、とっさに自分の誤りに気づいたはず。
ユジンの目を見れば、それがわかったはずだと思います。

この二人は、自分の考えをはっきりと相手に語る人間です。
しかし、同時に相手の言葉… 相手の心もちゃんと考える人間です。

ですから、後でもう一度じっと思いに沈み込むのでしょう。


「運命の輪」のタロットカードは、またひとつの小道具として登場しました。
が、その後それほど大きな意味を持っては扱われませんでした。
そのあたりは、もったいないなぁ…という感じ。
それで、いくつかの「挿話」で書かせてもらいました。

キム班長も、大好きな人物。
父親のいないユジンにとって、彼は「父」への思いを映し出す人であってほしいと思いました。
亡くなった妻を、ずっと思い続ける人物であることも、簡単に描かれています。
これは書かなきゃ…と思い、「挿話5」で書きましたが、その後何回も書くことになりました。
僕の亡くなった父親が、現場重視の人間だったことも、多少影響してると思います。


ユジンへの誤解が、チンスクとの会話で崩壊していくシーンは名シーンです。
何度も観て泣きました。
この場面のヨンジュンssiの演技力は凄いと思います。

ユジンがギョンヒに電話するシーンは、ジウssiの演技力が光る場面。
その時の声の質… 凄いです。
吹き替えでは、全く伝わらない凄さ。
完璧ですね。

気になったセリフもいくつかあります。

ミニョンがチョンアに言った言葉。

『運命が近くにあるのは、気が重い』


この先の将来を予感させる言葉。
運命の人と、遠く離れなければならないチュンサンの、哀しい言葉。

いつかこれも書こうかと思っています。
 


第7話「冬の嵐」から


第7話 「冬の嵐」



この回は、冬ソナの中でも見せ場の多い回ですね。
ラストの『告白』はもちろんですが、誤解の解けたミニョンとユジンとの会話場面は、すべてが素晴らしいです。

『誤解は、許すものではありません』というユジンのセリフもいいです。
誤解は、謝って…許す、というものではない。
誤解とは、『罪』ではないということ。
誰にでもあるということ。

それは、解ければいいこと。

これは、とっても大切なな言葉かもしれません。
僕たちは、つい他人の真意を誤解しがち。
そして、それに気づいても謝ろうとはしません。
誤解は、許すものではない…けれど、謝らなくてもいい、という意味ではないと思います。

ユジンが『許すものではない』と言った、その心にミニョンは惹かれていったはずです。

また政治的な話になりますが、日本は『誤解』されているのでしょうか?
どうも、誤解とは違うような気がします。
謝ることで、許されるというものでもなさそうです。
ミニョンとユジンのように、心惹かれ合うような温かい感情交流は、いつになるのでしょうか…。

このミニョンとユジンの『氷解』を元に、僕は「挿話 20」を書きました。
あの写真を返すのは、このときしかないと思ったので。


『本当に好きなら、理由なんてないんです』
このミニョンの言葉も、後でうまく使われていますね。

これも逆説的な言葉。
本当に好きになるには、当然いろいろ理由があるはずです。
だけども、それは他人に話して理解されるものではないと思います。
誰にも説明できない感情。
だから…理由などない、としか答えられないような気がします。

ほんのジョークで言ったこの言葉を、やがてミニョンは思い知ることになります。



ギョンヒの『あの人…見たことある気がするわ…』も、「挿話 2」を書くきっかけのひとつになりました。
ドラマでは、あまり意味を持たないセリフになってしまいましたが。
きっと、脚本家さんは何か考えていたのでしょうね。


『世界は美しいのに…』というミニョンの名セリフについては、もう何も言う必要はないでしょう。
このセリフに至る場面のすべて…セリフも、風景も、カメラワークも、みんな素晴らしいです。




そして、吹雪でゴンドラが停まった、というその設定に、僕は感心しました。

ユジンは、チュンサンの死で、自らの時間を停めたままでいます。
それが、ミニョンとの出会いでまた動き出す…。

運命の神様の、いたずらなのか償いなのか…。

そのゴンドラに乗って一緒に頂上に登る前のミニョンのセリフ。
ユジンに、軽く言ったセリフです。
二度目にこの回を観たとき、その一言に、僕は泣いてしまいました。


  『待ちましたか?』


10年の時間が、一気に修復の渦を巻いて、冬の嵐のように二人を翻弄していく…。

「待ってました!」と喝采を送るには、切なすぎる言葉です。

 

第8話「疑惑」から


第8話 「疑惑」




この回で、僕が最も印象深かったのは、サンヒョクが自分のメッセージを送らずに消してしまうところでした。

ああ…という思い。

サンヒョクよ、なぜ…という気持ちで見たのを覚えています。

そして、ユジンとミニョンが互いに惹かれ合っていく展開。
3人の運命が徐々に変わっていく回でした。



「挿話」には、4つのストーリーを書きました。

どれも「ネタ」というほどのものを書いていませんが、「挿話23」だけは特別ですね。
これは、「ふゆみかん」さんのために書いたものです。
この頃、いつも深夜に訪れてくれる大切な読者のおひとりでした。

僕の書いた物で、初めて「泣いた」と言ってくれた方。

うまく書けたとか、そういうことではありません。
僕の思いが、人に伝わったことがうれしかったのです。

その「ふゆみかんさん」をキーワードに、今読むと下手くそなストーリーを書きました。
でも、いまだに愛着のあるストーリーです。


ミニョンがユジンを見つけた場面。
あちこちのサイトやブログで、「なんで居場所がわかるんだ?」とのツッコミ。
不思議なことに、携帯を持ってるから…と単純に考える人はあまりいませんでした。

それは、ミニョンが必死にユジンの元へと向かう姿が、あまりにも美しかったからでしょう。

「今どこ?」などという場面は必要ないのです。

ミニョンが、必死にユジンを探す。
ユジンは、それを自然に受け止めて、彼の胸の中に抱かれる。

ミニョンがユジンに電話をかけた時、「あの最中だったら?」などという品のないツッコミも必要なし。

ふたりが互いに互いを必要とし始める心の動きを感じたい回でした。



タイトルの「疑惑」とは、サンヒョクの心を表したものなのでしょうか。
なんとなく、違うタイトルの方が適しているような気がしました。

しかし、この回の最後。

アメリカから帰国したミヒのセリフ。
「チュンサンは元気?」

これによって視聴者は「疑惑」を持ったのです。
その点では、お見事!というべきなのかもしれませんね。
 

第9話「揺れる心」から


第9話 「揺れる心」




この回のオープニングは、僕の大好きな場面です。

迷子になったユジンと、見つけ出したミニョンが、スキー場に戻ってきたところから。

眠ってしまったユジンにつぶやくミニョン…。
優しさにあふれ、そして自分の切ない心も吐露しています。

僕自身も経験がありますが、眠っている女性の顔を見ていると、その安らぎをずっと守りたいと思ってしまいます。
きっとミニョンの心の中にも同じような思いがわき上がったはず。


その後、ミヒが春川の懐かしい家に帰ってきた場面になります。
ここも好きなシーン。
ミヒが、家の塀にからまる蔦を指でたどる表現に引き込まれました。
この場面…BGMはオリジナル版がいいです。
NHK版よりも感情移入できるんです。

この第9話の中に、僕は「挿話」を全く書いていません。
それだけ展開がスムーズなのでしょう。
いつもこの回だけはじっくり観てしまいます。

サンヒョクに「私たちの結婚を考え直してほしい」と訴えた後、帰ってきたユジン。
そしてそれをミニョンに伝え、どちらをも選ばないと宣言したユジン。

ミニョンが言った言葉。

「それは選択ではなくて、放棄だ」

この訳はいいですね。
オリジナルの直訳では、「放棄するユジンさんに、手を貸すわけにはいきません」という感じになります。

「手を貸す」

これも「冬ソナ」の中では重要なキーワードですが、ここでは効果的ではありません。
なにせミニョンはユジンを迷わす当事者なのですから。

大事なのは、この時ユジンは確かにミニョンのことを好きだと言っています。
こんなふうに言われては、ミニョンも諦められるはずがないと思います。
ユジンの愛すべき欠点ですね。

この後は、怒濤のように展開していくのですが、その中で僕が気に入っている場面がひとつ。

それはチヌ、チヨン、ギョンヒの3人がお茶を飲みながら話している場面です。
主役たちも、若者たちもいないこのシーン… ベテランの演技力が素晴らしいんです。

それぞれの表情や視線、身体の位置や向きまでが、彼らの心を表現しています。
このあたりを見逃すのはもったいないです。

「ヒジンは元気ですか?」

このセリフ… なんとチヨンが言っているのですよ。

チヨンにとってヒジンのことなどどうでもよいことのはずですが、あえて話題を変えようとしたのでしょう。
家族ぐるみで付き合ってきた両家の雰囲気も感じられるセリフです。
その辺の脚本が、とても気に入っています。

ネタ…としてあげられるようなものはあまりないのですが、チヨンのセリフに気になったものがありました。

「うちの嫁に、男の噂が立つのは嫌なの」

これを聞いたとき思いました。

チヨンがユジン一家をずっと気に入らなかったのは、こういう人だからだと。

たぶん… ヒョンスとミヒの過去の噂… それを聞いていたのではないかと。
チヨンにとって、そのような色恋沙汰のあったヒョンス一家に、好感が持てなかったのは仕方のないことだったのではないかと。
ヒョンスが亡くなって、母子家庭になる前から不快感を持っていたような気配を感じていました。

そのあたりをいくつかの「挿話」にも盛り込みました。
 

第10話「決断」から


第10話 「決断」




この回は、書きたいことがたくさんあります。
しかしそれら全てを書いていたら、あっという間に文字数制限にかかりそう。
いくつかに絞ってみたいと思います。

ひとつは、この回では大勢の人々の心が、ぶつかり、傷つき、そして切なく流れていったと言えること。
観ている方も、何度も泣いてしまいます。

ミニョンと逃げ出したユジン。
その二人の忘れられぬ思い出も、この短い期間に凝縮されています。
ポラリスのネックレスが、その象徴。

チェリンとチンスクの二人の友情の場面は、高校時代からの時間を重ねて、思わず涙してしまいました。
「挿話 77」で書いたのは、そんな二人に共通する「一途」ということでした。

ユジンと母ギョンヒのすれ違いも、苦しくなる場面です。
サンヒョクの身を案じる母チヨンも、ヨングクも、必死にユジンに訴えます。
ユジンの孤独感と、それを理解しているミニョン。
ユジンがミニョンを本当に愛したのは、この時期の彼の動かぬ姿勢…『ポラリス』だったと思います。


僕が最も印象的なシーンは、サンヒョクの病床で、思わず泣き崩れるユジンの泣き顔。
決して美しい泣き顔ではありません。
しかし、最も魂のこもった泣き顔でした。

この時のユジンの悲しみは、他のどんな場面とも別の種類のものです。

自分が「人の死」に対しどんなに苦しんできたかが伝わらぬサンヒョクの心への悲しみ…。
サンヒョクの思いがわかるだけに、なお悲しみが深いのです。
同時にミニョンの愛に応えられぬと知った悲しみ…。
自分の心にも気づき、それを捨て去らなければならないことへの悲しみ…。
周囲の人々の心を傷つけられないユジンゆえの悲しみ…。

泣き崩れる直前の、一瞬ぼんやりした表情に、それらが如実に表れています。

もはやユジンの心はユジンひとりのものではありませんでした。

その自己崩壊のような泣き顔…。

僕は、チェ・ジウの「泣き」の中で、この場面がNo.1だと思っています。


ラストの雪の中でのミニョンとの別れ。

印象的だったのは、ユジンの手…そして指…爪の美しさ。
儚げに淡く、細く、そして何よりも美しい…。
手だけで演技できる女優さんなんだなぁと、感服しました。
 
とにかく見所満載の回であることは、間違いありません。


      


      

 
 

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  • ようやくの春
  • また冬が訪れようとしています。
  • 引っ越しました。
  • 引っ越しました。
  • 引っ越しました。
  • 引っ越し準備中です。
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