「後輩からのメール」





『 親愛なる先輩


 ご丁寧な工事完了迷彩をありがとうごございました。


 いろいろと、細かな要望も反映していたtだいたようで、恐縮しています。


 僕のイメージ通りにほぼ仕上がった由、何よりうれし思います。



 残念ながら、その完成をこの目で見ることは今の僕にはできませんが、そちらに行くことがありましたら必ず訪れれようと思っています。


 
 おかげさまで、僕は元気気です。。


 ニューヨークでの新しい生活にも慣れました。


 仕事のやり方は以前とは違っていますが、想像力と好奇心はまだ残っていますからご安心を。


 ソウルの方はいかがですか?


 そろそろ冬がおとずれる頃… 空が美しいでしょうね…。


 先輩たちと一緒に仕事をした日々を懐かしく思い出しています。


 あのスキー場のホテルも、多くのお客でにぎわってくれるでしょうか…。


 ああ… そうだ…


 頂上の客室への配慮をお忘れなく。


 ゴンドラがまた止まっても大丈夫ように、食料や医療品、燃料などのストックを充分になさってくだいね。



 jyンアさんはお元気ですか?


 知らないとは言わせませんよ。


 お会いした際には、よろしくお伝えください。


 いろいろとありがとうございましたと、ぜひ。



 そちらは夜でしょうか?


 寝酒もほどほどに。


 先輩は酔うといびきがひどいから… 一度病院に行くことをおすすめします。


 自分では気づかない身体の偏重というのもあるのですから。



 こちらに来ることがあれば、連絡をくださいね。


 おいしいワインを用意しますか、ら。


 静かなピアノの戦慄もプレゼントしますよ。


 僕… 案外上手に弾けるんです。


 やはり天才かな…。




 では… 


 いつか… 再会の日を 楽しみに…。





         イ・ミニョン 』




          *



あいつからのメール…。

久しぶりだった。


なんでぃ… つまらないことばかり書きやがって…。


あちこち… 誤字や脱字だらけじゃないか…。



 ………。



あいつ… やっぱり…



もう… やつの目は…




俺は… 何度もメールを読み返した。


そこに書かれてはいない、あいつの本心が… 俺には見えてしまう…。



ミニョン…   いや… カン・ジュンサン…。



俺には、いったい何ができるのだろう…。

この… 哀しい後輩のために…。





                          -了-



あとがき

これもボツ原稿の中から。
もちろん『誤字脱字』ゆえにボツにしてあったわけではありません。

こういうメールしか打てなくなったチュンサン…。

あまりに気の毒で、また不謹慎な気がして『挿話』には入れませんでした。

書き直しの際、少し短くカットしました。


 コメント一覧 (16)

    • 1. みやっち
    • 2007年06月23日 05:31
    • ああ、そういうことなんですね・・・最初、あれ?って思いました。
      あまりにも哀しいメールです。チュンサンの気持ちを考えると言葉もありません。
    • 2. 子 狸
    • 2007年06月23日 07:54
    • おはようございます。
      不可能の家…イ・ミニョンだけの力ではできなかた。きっと先輩であるキム次長のサポートがあってこそなのでしょうね。
      感謝の気持ちを伝えるためのメール…これを書いたチュンサン(ミニョン)&これを読んだ次長の気持ち…切ない…。
    • 3. retro
    • 2007年06月23日 09:46
    • チュンサンが徹夜をして図面を引いた時から、このメールをするまでに語りつくせないくらい、いろいろな事があったのでしょうね。そんな時間の重みが胸に迫ってくるお話でした。
    • 4. poppo
    • 2007年06月23日 10:45
    • これはあまり良い出来には思えません。
      何かが足りない気がします。
      その足りない部分は、みなさんの胸の中で補っていただければありがたいです。
    • 5. tomato2709
    • 2007年06月23日 18:29
    • 私もおやっ?と思いました。Poppoさんがこんなに間違うわけないから、YahooかPCの異常かと…。そうだったんですね…。深いですね…。
      何かが足りない、とPoppoさんおっしゃいますが、全てを表現することもないのでは…。大丈夫、私たち、それぞれの思いで読みとります。
      哀しくて、涙が出てきました。キム次長の画像…どの場面だったかしら…このお話にあまりにピッタリで、ますます泣けてきました。
    • 6. poppo
    • 2007年06月23日 19:47
    • とまとさん、上の画像は本編第13話の中程の場面からです。
      連絡がつかず怒っていた次長の前に、黒スーツ&ピンクのネクタイで現れたあの場面ですよ。
      しかし… 気に入らない…。
      やっぱりボツ原稿ですね…。
    • 7. **seiko**
    • 2007年06月23日 23:04
    • Poppoさん こんばんは。
      私もあれ?って思いました。チュンサンの目のせいだったんですね…。
      Poppoさん 十分に伝わってきましたよ。チュンサンの想いとキム次長の想いが…。
      切ないですね。。
      キム次長は きっとチュンサンとユジン ふたりに見てもらいたかったのでしょうね。
    • 8. poppo
    • 2007年06月23日 23:24
    • 「あれ…?」と思わせるだけの作品かもしれません。
      手紙ではなくメールにしたのが失敗だったかな…。
      手紙では文字の乱れや傾きで表現できますが、変換ミスはありませんからやめたんですけど。
      seikoさん…
      >先輩たちと一緒に仕事をした日々を…
      この先輩「たち」に、チュンサンの思いの全てを表せればいいのですが…。
      まだまだ文章力が未熟です。
    • 9. poppo
    • 2007年06月23日 23:30
    • つまり…
      光を失ったチュンサンの孤独感や疎外感…他の人々との間に距離を感じ始めている彼の心を描きたかったんです。
      この時期には「どうせ、もう僕は…」という自棄的な気分もあったはずだと思うんです。
      そのあたりも書きたかったんですが、ちょっと難しいテーマでした。
    • 10. **seiko**
    • 2007年06月23日 23:58
    • そうですね。きっとそんなことも思ったでしょうね。
      疎外感も孤独感も…。でもこのチュンサンのメールからは そんなこと感じられません。
      というか、そんなことを感じさせたくなかった。。
      「僕は元気にしているから安心してください」と書かれているように 誰にも心配をかけたくなかった。
      目が不自由になったことを哀れんでほしくなかったから そんな文章になったのかもしれませんね。。
      Poppoさん またゆっくりと書いてくださいね。待っています。
    • 11. **seiko**
    • 2007年06月24日 00:02
    • でも やっぱりキム次長は わかっていたんですね。。
      チュンサンの気持ち。。
      「この哀しい後輩のために・・」ってありますもんね。。
    • 12. あとむまま
    • 2007年06月24日 16:59
    • まず、このキム次長の姿に、ドキっとしました。
      この写真と題名があらわすものがなんなのか・・・そしてこの誤字。
      それだけで胸にひたひたと迫るものがありました。
      確かに「つまらないことばかり書きやがって」ですが、そのつまらない手紙で次長をこんなに泣かせるなんて。
    • 13. 冬ソナonlyyuou
    • 2007年06月24日 21:31
    • Poppoさん
      そうなんですよね、本当に大切な人からの手紙やメールは、何度も
      何度も読み返すんですよね。
      ミニョンとキム次長の絆の強さ、信頼関係を、改めて思わされた作品として読ませて頂きました。
      クオン・へヒョさんの「キム次長」、
      主役の二人同様に、私を「冬ソナ」の虜にしてくれた人として忘れられない登場人物です。
    • 14. poppo
    • 2007年06月24日 21:48
    • 彼がときどき提示する「3択」も印象的ですよね。
      どれもが間違いじゃなく、案外真理をついていたりして…。
    • 15. うさこ
    • 2007年07月13日 02:51
    • poppoさん、今頃、読みました。読んでいてすぅ~と心に入り込んできました。
      押し付けでなくドラマに溶け込んでいるような挿話ですよ。
      誤字脱字ばかりなのに、気がつかないチュンサン。
      ソウルから遠い空の下にいる後輩はかつてのミニョンの姿ではないですね。一緒に(ユジンたちと)仕事した頃のことを懐かしむことしかできないチュンサンに何もしてやれない先輩のやるせなさがひしひしと伝わってきます。
      この思いが不可能な家での再会の『からくり』に繋がっていくのですね。
    • 16. poppo
    • 2007年07月13日 22:56
    • これは「一回きりしか使えない」誤字脱字という手法の作品。
      韓国語だったらどんなふうになるんでしょうね。
      この頃、自分の書いたものを韓国語に訳して、あちらの方々にも読んでいただきたいなぁと思うようになりました。
      韓国の方々の考え方を聞いてみたいと思うんです。
      日本人である僕とはやはり違うのかな、と。

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