「亡却」
ミニョンさんは、言った…。
『亡くなった人が一番喜ぶのは、忘れてあげることだ。』
その言葉に、私は激しい怒りを覚えた。
…違う。
…それは、絶対に違う。
…そんなことは… ない!
しかし… 私は、どこかでそれを否定できない自分を感じている…。
揺れる…想い…。
母に電話をかけてみた。
「ママ…。
今でも… パパのことを覚えてる?」
母は、笑いながら言った。
「もちろんよ。」
その迷いのない答え。
私は…うれしかった。
15年も経っているのに…
母は、亡くなった父を忘れてはいない…。
母は、また言った。
「心の中に生きているから… 永遠に忘れられないのよ。」
そうなのだ…。
彼は… 私の心の中で生きている…。
今も… 10年という時間が過ぎても、何一つ忘れられない…。
チュンサン…。
あなたは、どう思ってる…?
まだ…あなたを忘れずにいる私を…。
忘れたら… あなたは喜んでくれるの…?
違うわよね?
だって…
あなたは生きているのだもの…。
この私の心の中に… 生きているのだもの…。
忘れるということは… 本当に亡くなってしまうこと…。
ミニョンさんは、間違っている…。
悲しみで… この心が溢れそうになっても…
苦しみが… この心を押しつぶしそうになっても…
私は、あなたと生き続けたいの…。
チュンサン…。
ごめんね…。
あなたのために笑顔を見せることは、もうできない…。
あなたの…忘れられない笑顔が… 今も私を泣かせるのよ…。
-了-
あとがき
今日は、社会面も芸能面も、死去のニュース…。
ふと、考えてしまいました。
ふと、考えてしまいました。
僕は、どんな死を迎えるのだろう…。
僕は、誰を看取るのだろう…。
僕は、誰のために生きるのだろう…。
僕は、何のために生きるのだろう…。
人は、何のために生まれ、生きて、死ぬのだろう…。
コメント一覧 (12)
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- 2007年05月29日 10:52
- キム班長の解雇をめぐって、「亡くなった人のことを想って涙を流すことがそんなにいけないことですか。」とミニョンに食って掛かるユジンの真剣な表情がとても好きです。
ユジンにいろいろ疑念を抱いていたミニョンもあの姿に心を動かされたと思います。
人が生まれてくる意味、生きていく意味、死んでいく意味、それを描きたくてわたしも物語を書きました。
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- 2007年05月29日 15:24
- 「亡却」という題。「亡くなる」と「忘れる」という言葉使いまで、細やかに書き分けていらっしゃるのですね。
人が「どう生きるのか」という問いは、死ぬまで抱えていかなければいけないものなのでしょうね。
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- 2007年05月29日 17:26
- 死というのはホントに突然にやってきます。心の準備が出来ないうちに目の前からいなくなると、何も考えることが出来ません。でも、やっぱり忘れてあげることがその人のためだとは思えません。折に触れ思い出してあげるほうが供養になると思います。
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- 2007年05月29日 20:18
- 自分がもし…死ぬ人間の立場なら…どうでしょう…。ミニョンの言葉は『亡くなった人間の言葉』です。ユジンは、チュンサンに言われたような、そんな気持ちになってしまったんじゃないかな…。
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- 2007年05月29日 22:42
- 子狸さん、僕はあまりZARDを聴かなかったのですが、前の職場の仲間とバンドを組んでいた時は、みんなでコピーもしました。
悲しんでいる方は多いのでしょうね…。
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- 2007年05月29日 22:45
- 局さま、あのシーンのユジンのアップは、ミニョンではなくテレビを見てる視聴者に向かって叫んでいるような気がします。監督の演出だったら…すごいなぁ…。大きなテーマですからね。
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- 2007年05月29日 22:49
- retroさん、もちろん誤植ではありません。「ぼうきゃく」と読んでいただいたのかな…。「もうきゃく」と読む方はおられないかな…。それもいいかと。「妄」という文字を思い起こしていただければ、なおいいのですが。
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- 2007年05月29日 23:03
- >ミニョンの言葉は『亡くなった人間の言葉』…そんな見方が出来るのですね。たしかに、自分が先に死んでしまったら、愛する人に故人である自分を思い出して、悲しんでばかりいて欲しくないと思いますね。でも全く忘れ去られたら、それも寂しいでしょう。命日…その日くらいは故人を偲びたいし偲んでもらいたい…かな。
こんなに何度も観ているのに、新しい発見がある。そこが「冬ソナ」の凄いところです。
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- 2007年06月01日 00:17
- 私もミニョンの「死んだ人の供養は忘れてあげること・・」に、「え~っどうして??」っと思った一人です。なんて表現したらいいのかわからないけど 自分がとても愛していた人が当然目の前から消えてしまったら・・決して忘れることなど出来ないでしょう。。それも 変な言い方ですが、死に目にあったわけでもなく、お通夜に行ったわけでもなく、本当かどうかもわからないのに その人の「死」を認めることなんか出来ません。。ユジンの苦しみを思うと本当に切ないですね。ユジンも思ったはずです。「忘れたれたらどんなに楽になるだろう・・」と・・。忘れたくても忘れられないから苦しい。。その人を愛していたから なおさらです。。
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- 2007年06月08日 00:57
- ほら、あたしと同じようにPoppoさんのことが好きでこのブログに訪れる人がいたでしょう。いるんだって!
あたしはどちらかといえば忘れてあげる方に賛成派かな。あたしが結婚していないからかもしれないけど、結婚していた連れあいが亡くなったなら分かるけど、若い、これから結婚したいと思う人が自分より心の奥では別の人の事を想われていたらいやじゃないっ。
Poppoさんはどのくらい過去に恋愛あったか分からないけれど結婚する時、今の奥さんが過去の人よりその時は一番いいと思ったんでしょう!?
皆さんいろんなコメントしていますが、この人が好き、結ばれたいと思ったら、聖人君子みたいには言っていられないと思いますが。
ホント、Poppoさんは妻帯者の匂いがしませんね。冬ソナに恋しているみたいね。夜0時過ぎや、休日も冬ソナ。奥さん、何も言わないの?対象が人じゃないから。単身生活?あたし奥さんなら嫉妬するかも。
でも、Poppoさんみたいな人今までいなかったから、なんか惹かれる。『初めて』だから。
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- 2007年06月08日 20:13
- アサミさん、ありがとうございます。
おかげで今日一日、どうコメントを返すか悩まさせていただきました。(^_^; )
まるでインタビューを受けるミヒの気分。
お答えするよりも、僕の書く物の端々で感じていただければいいかな…と。
愛した人を、ひとりとして忘れられない人間もいるんです。
故人のご冥福をお祈りいたします(合掌)